革と工法について

「皮」と「革」の違い

日常では同じ意味で使われることの多い「皮」と「革」ですが、実は異なるものです。

皮(かわ) とは、動物からいただいたままの“生の状態の皮”のこと。
このままでは腐敗してしまうため、長く使える素材にはなりません。

そこで行うのが なめし(鞣し) という加工です。

なめしとは、動物の皮に植物や天然由来のタンニンなどを浸透させ、
腐敗しない丈夫で安定した素材へと変化させる工程のことです。

この工程を経て初めて
「皮」「革」 へと生まれ変わり。

弊社製品はすべて、このなめし加工を施した
100%本牛革 を使用しています。

 

植物タンニンなめし革について

弊社では、植物から抽出したタンニンを用いて時間をかけて丁寧になめされた革を使用しています。
この革には次の特徴があります。

・繊維が締まり、しっかりとしたコシがある
・使うほどに柔らかく馴染む
・手の脂や光に反応して色が深く変化する
・革本来の香りや風合いが残る

化学薬品で柔らかく仕上げた革とは違い、
使い始めはやや硬く感じることもありますが、日々の仕様の中で持ち主の暮らしに寄り添い、
持ち主だけの表情へ育っていきます。

 

エイジング(経年変化)

革は完成品ではありません。
使われることで完成へ向かう素材です。

日光、空気、手の油分、摩擦によって
革の色は徐々に深まり、艶が生まれます。

これを エイジング(経年変化) と呼びます。

新品の明るい色合いは、年月とともに飴色へ変化し、
同じ製品でも一つとして同じ表情にはなりません。

それは劣化ではなく、

持ち主と過ごした時間の記録 です。

 

天然素材の証について

本革は、工業的に均一に作られた素材ではありません。
生きていた動物の命をいただいた、自然由来の素材です。

そのため革には以下のような個体差が見られることがあります。

・小さな傷
・焼き印(ブランドマーク)
・皺
・血管の跡(トラ)
・色の濃淡

が含まれる場合があります。

これらは不良ではなく、
その牛が生きてきた証であり、天然素材ならではの特徴です。

弊社では、こうした部分もできる限り活かし、
自然の風合いを大切にしています。
それは、命をいただいている素材への感謝の気持ちでもあります。

 

部位による違い

牛革は部位によって性質が異なります。

  • 背中側:繊維が密で硬く、しっかりとした仕上がり
  • 腹側:柔らかくしなやか
  • 部位ごとに色味や質感が変わる

そのため、製品ごとに微妙な色味や風合いの違いが生じます。
完全に均一な仕上がりにはなりませんが、

しかしそれこそが、天然素材と手仕事による製品の証 です。

 

弊社の工法 ― 「縫わない革製品」

一般的な革製品(財布・バッグ・ベルトなど)は
裁断 → 縫製 → 組み立て
という工程で作られます。

しかし弊社の製品は少し異なります。

私たちは元々、服飾品やアクセサリーの工芸品メーカーとして歩んできました。

皮革を扱う以前の素材は薄絹生地、サテン、ジーンズ用のデニム生地、紙、樹脂などを接着によって立体的に仕上げてきました。
その技術を応用し、現在の革製品においても 縫製に頼らず接着と成形を中心に製作しています

職人が革を成形し、
貼り合わせ・組み立てによって立体を生み出すこの製法は。

これは「革製品」というより皮革製の工芸品に近いものです。

 

創業と現在のものづくり

弊社は1890年、かんざしと造花のメーカーとして創業しました。

約45年前、造花製作用の金型を使って革を抜いてみたところ、
革で立体的な小物が作れることに気付きました。

そこから試行錯誤を重ね、
現在の独特な製法が生まれました。

以来、私たちは
手に取った方が思わず微笑んでしまうデザインを立体的な丸み(R:アール)で表現する
という考え方でものづくりを続けています。

手作りだからできる細部の丸みが、有機的で手に馴染む、革物語の世界を創り出しています。
革だからできる、革だけどできる、vanca独特の工法です。

革の個性と、職人の手仕事。
その両方が合わさって、はじめて製品が完成します。

 

最後に

私たちの製品は、均一な工業製品ではありません。
一つひとつに革の個性と手作業の痕跡があります。

小さな傷や色の違いも含めて、
世界に一つだけの表情としてお楽しみください。

機械の作る量産品にはない温もりと、国産品ならではの確かな作り。一度手に取っていただければ、その良さが分かっていただけることと思います。
今日も私達は千葉県船橋市の工房にて一つひとつ製作を続けています。

年月とともに育つ革の味わいを、
長くご愛用いただけましたら幸いです。